「さよなら」ではなく「いってらっしゃい」

厳しい能登の自然の中で育った栗の木。 役目を終え、あるいは次なる実りのために剪定された木々を、 私たちは「資源」ではなく「預かった命」として大切に使い切ります。

どっしりとした太い幹は、食卓を彩るお盆やお皿へ。 しなやかな枝は、日々に寄り添うお箸やかんざしへ。 プロダクトとして形を変えた木々は、「旅をする木」として新しい誰かの日常へと旅立っていきます。

恵みは木材だけではありません。 栗の皮に秘められた豊富なタンニンやポリフェノールは、布を優しく染め上げる染料となり、 細かく粉砕すれば、大切な家族である愛犬の健康を支える食事へと生まれ変わります。

器になれなかった端材は、厳しい冬を越すための薪(まき)となり、 削り屑やウッドチップは、次世代の木々を温める布団や畑の肥やしに。 そして一枚の枯れ葉さえも、豊かな土を造る材料として再び大地へと還っていきます。

芽吹き、結実し、姿を変えて暮らしを支え、最後は土へ。 自然の営みのすべてに責任を持ち、命のバトンを繋ぎ続ける。 それが、どこまでも誠実な「未来への方舟」の形です。